不動産取得税がゼロになるかもしれない?マイホーム購入時の税額計算

不動産の税金

マジメに不動産

真地 リョウ太  Twitter
1989年生まれ。2012年から不動産会社で売買実務を担当。不動産相続対策の案件も実績あり。本サイトでは業務経験から得たスキルをみなさんに発信できればと思っています。宅地建物取引士・行政書士試験合格・FP2級。好きな食べ物は梨。

 

マイホームを購入したときの不動産取得税はいくらくらいになるのでしょうか。

不動産を取得した人に課税義務が生じるのが不動産取得税です。

 

税率は4%(本則)となっており、普通に計算すると結構な金額になってしまいます。

 

しかし対象物件が“住宅用途(マイホーム)”の場合は軽減措置が受けられるので大幅に税額が安くなります。

 

場合によっては不動産取得税がゼロになるケースもあります。

 

マイホームを購入したときの不動産取得税がいくらになるのか、チェック方法について解説したいと思います。

 

不動産取得税の計算

不動産取得税は、不動産の取得の背後にある担税力に着目して課される税です。

現行の不動産取得税は、固定資産税の税率を引き下げることによりその不動産に対する将来にわたる固定資産税の負担の緩和を図るとともに、不動産を取得するという比較的担税力のある機会に相当の税負担を求める観点から、昭和29年度税制改正により道府県税として創設されました。

出典:不動産取得税 | 総務省HP

不動産取得税は、本則においては以下の計算式で算出されます。

課税標準額(固定資産税評価額) × 4%

たとえば固定資産税評価額が、土地1,000万円、建物1,000万円、合計2,000万円というケースであれば、不動産取得税は80万円ということになります。

しかし80万円の不動産取得税は負担が大きく、これではマイホームの購入が億劫になってしまいます。

たくさんの人がマイホームを取得しやすくなるように、国策として、住宅関連の不動産取得税は一定の条件下での軽減措置が設けられています。

不動産取得税の軽減の概要

①税率の軽減
②土地の課税標準額の特例
③建物の不動産取得税の控除
④土地の不動産取得税の控除

 

軽減① 税率の軽減

不動産取得税の税率は原則として4%とされていますが、「住宅」「土地」については特例で3%の税率が適用されます。

住宅には分譲マンションも含まれますし、賃貸用物件でも適用されます。住宅以外の建物部分については、従来通り4%という適用になります。

この軽減税率は令和6年3月までの時限措置になっていますので、この期間を過ぎてしまうと通常の4%になる可能性もあります。

取得した不動産がマイホームの場合は、土地も建物も3%の税率が適用されます。

 

■不動産取得税の軽減①

税率:4% → 3%

■対象となる不動産
①土地全般
②住宅(セカンドハウス、賃貸住宅なども可)

※令和6年3月31日までに取得されたもの。

 

軽減② 宅地の課税標準額

取得した土地が宅地である場合、土地の課税標準額は固定資産税評価額の1/2となります。

宅地とは、建物が建つための土地のことを言いますので、対象不動産がマイホームであれば問題なく軽減を受けられます。

 

■不動産取得税の軽減②

土地の課税標準額:固定資産税評価額×1/2


■対象となる土地

宅地

※令和6年3月31日までに取得されたもの。

 

軽減③ 建物の不動産取得税額の軽減

取得した建物が住宅である場合は、税額の軽減を受けることができます。

ただし軽減が適用されるためには下記の要件を満たしている必要があります。要件を欠いている場合は、こちらの項目の軽減を受けることができません。

建物の課税標準額

■新築住宅の場合
①住宅用として建てられた建物である。(セカンドハウス・賃貸用もOK)
②床面積が50㎡以上、240㎡以下である。
※①、②を全て満たしていること

■中古住宅の場合

①住宅用として建てられた建物である。(賃貸用はNG)
②床面積が50㎡以上、240㎡以下である。
③次のA~Bのいずれかに該当している
A.1982年1月1日以降に建築されたもの
B.新耐震基準に適合することが証明できる
C.旧耐震基準で造られた建物の場合、耐震改修工事を行った住宅である
※①~③を全て満たしていること

 

建物部分の不動産取得税計算

上記の要件を満たしている場合、不動産取得税は下記の通り計算されます。

 

■建物の不動産取得税の計算

不動産取得税=(固定資産税評価額 - 控除額)× 税率3%

 

控除額は築年数によって異なります。

新築年月日 控除額
1997年4月1日~新築 1,200万円
~1997年3月31日 1,000万円
~1989年3月31日 450万円
~1985年6月30日 420万円
~1981年6月30日 350万円
~1975年12月31日 230万円
~1972年12月31日 150万円

※取得した住宅が長期優良住宅の場合は控除額が1,300万円となります。

 

軽減④ 土地の不動産取得税の軽減

軽減③で紹介した建物部分の税額軽減が受けられる場合、下記の要件を満たせば土地部分の税額からも軽減も受けることができます。

・土地上にある建物が、課税標準特例(③の項目)の対象になっていること
・更地を取得した場合、1年以内に建物を新築すること
・建物を先に取得した場合、1年以内に土地も取得すること

 

土地部分の不動産取得税

上記の要件を満たしている場合、土地の不動産取得税は下記の計算式にもとづき算出されます。

 

■土地の不動産取得税の計算

不動産取得税=(固定資産税評価額×1/2×税率3%)-控除額
■控除額計算
控除額 = (土地1㎡当たりの固定資産税評価額 × 1/2) × (課税床面積 × 2(200㎡限度)) × 3%

※45,000円を下回る場合は、45,000円が控除額になります。

土地の計算は少し難しいですが
たとえば固定資産税評価額の平米単価が10万円、床面積60㎡だった場合で計算式は
(20万×1/2)×(70㎡×2)×3%
となり、税額からの控除額は42万円となります。

 

 

実際のケースで計算してみましょう

新築で下記条件のマイホームを購入したと仮定して実際の不動産取得税を計算してみましょう。

ケース
①建物:90㎡/評価額1050万円/新築
②土地:150㎡/評価額1,500万円(平米単価10万円)

 

 

①建物について
特例により課税標準から1,200万円の軽減が受けられますので、税額計算は以下の通りとなります。

評価額1,050万円-軽減1,200万円=0円

 

 

②土地について
土地の不動取得税の計算は固定資産税評価額×1/2×3%となりますので計算式は以下の通りです。

不動産取得税(控除なし) = 1,500万円 × 1/2 × 3% =22.5万円・・・(A)

 

次に控除額を計算します。計算式は(土地1㎡当たりの固定資産税評価額 × 1/2) × (課税床面積 × 2(200㎡限度)) × 3%となりますので、条件を当てはめると以下のようになります。

控除額 = (10万×1/2)×(90㎡×2)×3%=27万円・・・(B)
税額 = 22.5万円(A) - 27万円(B) =0円

 

以上の計算により、今回の土地・建物のケースでは不動産取得税は0円ということになります。

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