仮換地の地目変更ができない理由~農地法が絡むと手続きが面倒?~

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真地 リョウ太  Twitter
1989年生まれ。2012年から不動産会社で売買実務を担当。不動産相続対策の案件も実績あり。本サイトでは業務経験から得たスキルをみなさんに発信できればと思っています。宅地建物取引士・行政書士試験合格・FP2級。好きな食べ物は梨。

 

購入した仮換地に住宅を建築したのですが、地目を宅地に変更できないと言われました。なんで地目変更できないのでしょうか?

建物が存在している土地は「宅地」なので、地目変更の登記申請を受けた法務局は現況通り手続きを受理しなければなりません。

 

しかし、該当の土地が区画整理事業における仮換地である場合は地目が変更できない場合があります。

 

その理由と対策について考えてみましょう。

仮換地だと地目変更ができないことがある

今回のケースは法務局に地目変更登記の申請を出したときに仮換地であることを理由に受理してもらえなかったという事例です。

なぜ仮換地は地目変更ができないのでしょうか?

 

■仮換地とは

区画整理事業がスタートすると、これまで存在していた土地(従前地)は使えなくなります。従前地の代わりに使える土地のことを仮換地といいます。

従前地の所有者は、仮換地の使用収益開始があったときから換地処分までの間、仮換地を自由に使うことができます。

区画整理事業地内の全ての工事が完了すると換地処分が行われます。換地処分によって従前地は廃止され、 仮換地に新しい地番が割り振られます。

換地処分されるまでは従前地が登記の対象となる

区画整理事業エリアの性質上、仮換地に対する権利は「使用収益ができる」というものにとどまり、あくまで所有権そのものは従前地に対して持っていることになります。

少しややこしいですが、「所有権→従前地」「使用収益権→仮換地」という別個の2つの権利が同時に存在している状況です。

仮換地の売買などにより所有権移転などが発生した場合は、従前地に対する登記手続きを行うことになります。

従前地の所有権移転に付随して、仮換地の使用収益権が新所有者へ移転することになります。

 

地目変更登記ができない理由

法務局は、現況主義という大原則のもとで土地の地目を認定します。

現況主義とは現時点での土地の客観的な使用状況に応じて手続きの可否を判断するというものです。

仮換地以外の土地であれば、建物が存在している以上は法務局が宅地への地目変更申請を拒否する理由はありません。

登記申請対象地が仮換地であるときは、従前の土地の現況を見て地目変更が妥当かどうかを判断されることとなります。

そのため、供用開始済みの仮換地に住宅を建てて住んでいたとしても、法務局は建物が建っている敷地ではなく、あくまで従前地の現況を見て登記手続きの可否を判断することになるのです。

従前地がたまたま宅地として使われている場合は問題ありませんが、それ以外の用途になっている場合は申請を受け付けてくれないケースが多いようです。

地目変更ができないことのデメリット

先ほどの理由で、仮換地の地目変更登記は法務局に受け付けてもらえないことがあります。

仮換地に該当する従前地の地目が雑種地などの地目になっているときは特にデメリットはありませんので、換地処分後を待って将来地目変更を行えば問題ありません。

しかし、地目が田・畑などの農地になっている場合、所有者が仮換地を売却して所有権移転の登記をするときに農業法の5条許可が必要になるというデメリットが生じます。

農地の所有者以外の者が、新たに権利の設定・移転を受け農地を農地以外のものにする(転用する)場合には、知事の許可を受けなければなりません。

出典:農地法第5条 | 枚方市HP

更に、その不動産を買った人が第三者に転売するというときも新たに農地転用の許可が必要になります。(その後再転売、再々転売…とあったとしても毎回農地転用の許可を申請しなければなりません。)

 

 

仮換地という理由で農地ではない土地においても売却時に農地転用しなければならないという煩雑な状況になってしまうことがあるのです。

 

何故、地目変更を受け付けてくれないのか

区画整理事業における仮換地は、換地処分が下りるまでの間は、文字通り「仮」の土地を従前地の代わりに使用しているという状態にすぎません。

仮換地の使用中に万が一区画整理事業が破綻してしまい換地処分に至らなかった場合、従前地の現況が宅地ではないにも関わらず登記簿上は宅地になってしまっているということになりかねず、現況主義に反することになってしまうケースが考えられます。(ごく稀なケースではありますが…)

このような状況を防ぐため、換地処分が終わるまでは従前地の現況を基準として地目が認定されているということになっているそうです。

 

農業委員会で農地転用申請を拒否されたケース(実例)

地目が畑(地目変更不可)になっている仮換地の所有権移転登記を法務局から拒否されたため、農業委員会で仮換地の5条許可(農地転用)の申請を出したところ、農業委員会からも拒否されたというケースが実際にありました。

それぞれの機関の言い分はこうです。

法務局

「地目が農地になっている土地の所有権移転は5条許可がなければ受理できません」

農業委員会

「仮換地の現況が畑ではなくなっているので、もはや農業委員会の管轄から外れており、申請の対象ではありません」

両機関から手続きを拒否されてしまったので、仮換地の売却がままならない状況になってしまったのです。

しかし、土地家屋調査士から農業委員会へ直談判したところ、無事に5条申請を受理してもらうことができて、所有権移転登記をすることができました。

本来、行政機関が民間人から申請を受けたときは許可あるいは却下といういずれかの処分を出さなければなりません。

申請そのものを受理しない行為は行政の不作為(何もしないこと)であり、不当な対応であると言えます。

(行政庁がどうしても許可が出せないというときは、却下処分を出してもらえば、不服申し立てなどの次なる対策を打てるようになります。)

今回のケースは土地家屋調査士からその点を主張してもらうことで、何とか対応してもらうことができたというものでした。

 

仮換地でも宅地へ地目変更ができるとき

従前地に属している土地の現況が宅地として使われている場合、仮換地側の地目を宅地に変更することができます。

従前地側が「宅地と公衆用道路」「宅地と農地」などのように2つの土地にまたがっている場合もあります。

その場合は、宅地が従前地の大半を占めていることが確認できれば地目変更が可能なことがあります。

割合についてはケースによって異なりますので、一度土地家屋調査士を通して法務局に相談することをお勧めします。

 

いつから地目変更できるのか

区画整理事業の換地処分によって従前地・仮換地というものはなくなり、これまで仮換地として使用していた土地が新たな権利対象となります。

換地処分後は、一般的な土地と同じく登記申請を行うことができるようになります。

一般的には換地処分時に区画整理事業主が職権を使って全ての仮換地の地目変更登記を行うケースが多いです。

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