不動産を安く購入するための値引き交渉術①[注意すること編]

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真地 リョウ太  Twitter
1989年生まれ。2012年から不動産会社で売買実務を担当。不動産相続対策の案件も実績あり。本サイトでは業務経験から得たスキルをみなさんに発信できればと思っています。宅地建物取引士・行政書士試験合格・FP2級。好きな食べ物は梨。

 

購入したい不動産があるのですが、相手に値引き交渉をすることは可能なのでしょうか?

不動産の値引き交渉はハードルが高く、難しいケースが多いです。

 

しかし物件によっては値引きの余地が十分あるというものもあり、交渉の進め方次第では安く物件を購入できることがあります。

 

今回は交渉をする前に、知っておかなければいけない注意点についてお話ししたいと思います。

 

この記事のポイント

【前編】
・値引き交渉時の注意点やタブーを知っておく

【後編】
・交渉する上で押さえておくべきポイント、交渉成立事例

 

「交渉」はお互いにメリットがなければ成立しない

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不動産購入時に価格の交渉を入れるとき、まず考えておかなければならないことは「お互いにメリットがなければ交渉は成立しない」ということです。

大前提として「この不動産を購入したいと考えているのは自分1人だけではない」ということを考えておく必要があります。

相手のメリットも考慮しつつ、こちらの条件を提示する、とスタンスが結果的に交渉をスムーズに進める大切なポイントになります。

 

売主には何のメリットがあるの?

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では値引きをすることによる売主のメリットとは何なのでしょうか。
それは、金額を下げれば今すぐ物件が売れるという点にあります。

売却期間が長くなればなるほど売主の心理的負担は大きくなるものです。

また、物件の残債務がある場合は、売れ残っている間も支払いが継続するという金銭的なデメリットもあります。

希望者から「この金額であれば今すぐ物件を購入します」と交渉が入ることで、売主側にもメリットが生じることがあるのです。

売り手の事情によっては急いで売る必要もないということもあるので全てのケースで当てはまるわけではありませんが、交渉を進める上では相手の心理状態を理解しておくことが大切です。

 

やってはいけない交渉

取引相手方のメリットを踏まえた上で、不動産購入時にやってはいけないNG交渉について考えてみましょう。

 

NG交渉①一方的な交渉

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先ほど説明したように「交渉」とはお互いのメリットをすり合わせて落としどころを見つけていくという作業です。

具体的な根拠もなく、一方的な要求を出してしまうと交渉が決裂してしまう可能性が高くなります。

不動産業者からは「難しいお客さん」というレッテルが付き、取引に非協力的になってしまうおそれもあります。

売主側は、価格設定をするときには取引事例や相場と比較して説明のつく金額を算出しているものです。

その意向をくみ取り、まずは相手にもメリットがあるものなのかというところから考えるようにしましょう。

 

NG交渉②極端な減額の要求

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値引き交渉が可能な場合でも、極端に高額な減額を要求するのはNGです。

どれくらいであれば相応な値切りかというのはケースバイケースですが、一般的には売買代金の2~3%、どんなに好条件でも4~5%の値引きと言ったところではないでしょうか。

売り出し価格が3,000万円の中古マンションであれば、100万円の値引きに応じてくれれば御の字というケースが多いと思います。

ただし、中には値引き要望がくることを見越して当初価格をあえて高めに設定している売主もいます。

こうなるとどれくらいの値引きが妥当なのかを肌感覚で判断するのはかなり難しいので、経験豊富な不動産業者の担当者から意見を聞くのがいいと思います。

 

NG交渉③購入意思が固まっていないのにとりあえず要望を投げる

購入意思が固まっていないのに、とりあえず交渉をしてみるというのもNGです。

提示した条件に対して売主側が合意すれば売買契約へ進むというのが取引上の慣行であり、マナーでもあります。

売主側は、値引きの交渉を持ち掛けられた時点で「この条件であれば購入してもらえる」という前提で、返答を真剣に検討します。

条件の交渉するときは、確固たる気持ちで意思を表示するようにしましょう。

 

NG交渉④代金の値引き要求した上で、更に仲介手数料も値切る

売買価格の値引き交渉を行い、なおかつ不動産業者の仲介手数料まで値引きをするというのも基本的にNGです

一度決められた売り出し価格からの値引き交渉は、たとえ凄腕の不動産業者であってもかなりの労力を要するものです。(値引き交渉に消極的な業者が多いのも事実です)

それでなくても不動産取引は高度な信頼関係とスキルの上に成り立っているものですので、仲介手数料はきちんと適正価格を支払い、それに見合ったサポートを受けるという気持ちで取引に臨むようにしましょう。

 

NG交渉⑤直接売主と話をするのはタブー

基本的に不動産取引は、不動産業者を介して行われるものです。値引交渉や買付などの意思表示は、不動産業者を通して行わなければならないものです。

「不動産業者だと話にならない!」と、直接売主の住宅に出向き直談判するというのはマナー違反となるどころか、不動産業者の業務を阻害する行為につながってしまうおそれもあるので、絶対にやめましょう。

間もなく買受契約が成立に至る状態にあったのに、土地等の買受人が依頼していた宅地建物取引業者を排除して直接売買契約を締結した事案において、宅地建物取引業者の報酬請求権が認められた事例

出典:宅地建物取引業法に関する判例 – 報酬・媒介契約 | RETIO

もともと売主が顔見知りなど特段の事情があれば話は別ですが、それでも取引に直接関係するやり取りについては、トラブル防止の観点からみても業者を通すことが望ましいと思われます。

 

値引き交渉をするときの注意点

物件の値引き交渉について紹介してきましたが、交渉を行うときに購入希望者が気を付けておかなければならない点もあります。

 

交渉中に他の希望者に購入されることもある

売買契約が締結するまでの間、購入希望者が複数いる場合は便宜上、希望者を「一番手」「二番手」…と呼ぶことがありますが、この番号は優先順位を示したものではありません。

価格の交渉中に他の希望者がもっと良い条件を提示した場合は、自分が一番最初に交渉していたとしても物件が購入できなくなってしまう可能性があるということを念頭においておく必要があります。

 

交渉成立後にキャンセルするのはマナー違反

交渉成立まで進んだ案件を途中でキャンセルするのはマナー違反です。

当事者は、本当に契約するかどうか分からない人と契約条件の細かいすり合わせを行うことはできません。

「条件が合意できれば契約に進められる」という信頼関係のもとで交渉をしているという自覚を、売主と買主の両者が持っておかなければなりません。

 

希望条件は購入申込書で伝える

値引き交渉をする際、相手方に対する意思表示は、不動産業者を介して、書面をもって行われるのが一般的です。

希望金額(条件)を提示するときの書面のことを、購入申込書あるいは買付証明書などといいます。

購入申込書は、あくまで購入希望者の意思を相手方に示すための書類ですので、書類自体に法的拘束力はありません。

仮に提出後に申し込みをキャンセルしたとしても法律上はなんら責任を負うことはありません。

ですが不動産取引の慣行上、売主は申込書をもって取引を進めるかどうかを判断するものであり、たいへん重要な書面として扱われています。

申込書の提出後に特段の事情なくキャンセルするという行為は、マナー違反と捉えられるのが一般的です。

取引相手方や不動産業者との信頼関係を損なうおそれがありますので、「この条件なら必ず契約する!」という強い意志をもって申込書を作成し、提出するようにしましょう。

 

買付申込書は、就職活動におけるエントリーシートのようなものです。

法的効果はありませんが、提出後に簡単にキャンセルするのはマナー違反ということを理解した上で申し込みするようにしましょう。

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