不動産を安く購入するための値引き交渉術②[交渉時のポイント編]

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真地 リョウ太  Twitter
1989年生まれ。2012年から不動産会社で売買実務を担当。不動産相続対策の案件も実績あり。本サイトでは業務経験から得たスキルをみなさんに発信できればと思っています。宅地建物取引士・行政書士試験合格・FP2級。好きな食べ物は梨。

 

 

 

 

 

不動産の値引き交渉を行うときは、どのような話の持ち掛け方が理想ですか?

不動産の価格交渉は、お互いにメリットのある状況を考慮した上で落としどころを見つけていくという作業です。

実際の交渉の場ではどのような話し合いがされているのでしょうか。実例に沿ってお話したいと思います。

 

 

 

この記事のポイント

【前編】
・値引き交渉時の注意点やタブーを知っておく

【後編】
・交渉する上で押さえておくべきポイント、交渉成立事例

 

 

 

不動産の値引き交渉のポイント

まずは不動産の値引き交渉をする上で押さえておきたい大切なポイントを紹介します。

 

 

長らく買い手が付いていない物件は交渉しやすい

ネットなどで売り情報が出てから長い間買い手がついていない物件は、値引き交渉の余地が大いにあります。
売却活動は、スムーズに進められれば大体3~4ヶ月で買い手がつきます。
一般的には売り出しから6ヶ月を経過すると焦りだすことが多く1年を経過するとしびれを切らしてくるという売主が多いのではないでしょうか。それくらい売却が滞っている物件であれば、値引き交渉の余地は大いにあると思います。

※反対に、売り出しから2~3ヶ月くらいしか経過していない物件は、売主が「まだ様子見」の状態であることが多いと思います。

売主の中には「すぐに売れなくてもいいので希望額通りで買い手がつくまで気長に待つ」という人もいます。売れ残っているからと言って必ずしも値引きができるとは限らないということは注意しましょう。

 

 

取引が活発なエリアの物件は譲渡益が多めに乗っている

取引が活発なエリアであるほど、物件の価格は高騰しやすくなる傾向があります。
特に2015年~2018年頃においては地価や建築費がみるみる高騰していたため、マンションや戸建において新築時の価格よりも高い金額で中古市場に出回るという現象がみられる地域もありました。
このような市況においては、売主側が「どれくらい高い金額で売れるか」と挑戦的な売り出し価格を設定していることが多いです。

たとえば相場的には3,000万円くらいが妥当である不動産であっても、「取引がさかんに行われているのでとりあえず3,500万円で売り出してみてるか(3,500万円で売れればラッキー)」という感覚で高値で物件を売りに出すというケースが頻発するようになります。

それでも需要とマッチさえすれば取引が成立してしまうのが不動産市場というものですが、相場よりも高めに価格が設定されている分、値引き交渉の余地はあると思います。

ただ、取引が活発ということは購入希望者も多数いるはずですので、価格に固執していると他の希望者に物件を契約されてしまうということにも気を付けなければなりません。

 

 

値引きありきで交渉を持ち掛けないこと

売主側に値引き交渉を行うときに「値引きしなければ購入しません」と最初から断言してしまうケースがありますが、これは取引の成功率を下げる要因となるのでやめるべきです。
まず大前提として考えなければならないのが、そもそも売主側は交渉に応じる義務はないということです。売主が「一方的な条件提示だ」と感じた時点で、交渉のテーブルにすら上がれなくなってしまうリスクがあるということに注意する必要があります。
これは不動産業者に対しても同じで、あまりにも値引きを強調してしまうと「この案件からは利益がとれない」と判断されてしまい、取引に非協力的になってしまうケースがあります。
最初から値引きありきで取引を持ち掛けるのではなく、「当初価格であっても購入したい」という意思を見せつつ、条件のすり合わせの中で当事者全員でWIN-WINの関係になれる落としどころをうまく探っていくというのが交渉の鉄則です。

 

 

複数の業者へ購入相談してみる

値引きの話が不動産会社の窓口の段階で止まってしまうときは、他の不動産会社にも相談してみるという手段もあります。
不動産業者の交渉のスキルや1つの取引に対する力の入れ具合は、会社によって差があることがあります。
また、特定の物件に対して持っている情報も、不動産業者によってマチマチのことがあります。(A社は売主と一度も会ったこともないけど、B社は売主の事情や背景を熟知している、というようなケースも多々あります。)
一社から断られたからと言ってあきらめず、他の不動産業者にも相談してみるという選択肢も持っておくようにしましょう。

 

 

 

 

 

プロの値引き交渉事例

実際の取引の場ではどのように価格の交渉が行われているのでしょうか。
価格調整に繋がった事例を紹介したいと思いますので、当てはまるものがあれば参考にしてみてください。

 

 

建物解体など必要な費用を価格に反映する

交渉時に相手方に提示する条件として代表的なのが、実際にかかる経費を価格に反映させるという取引です。
建物の解体工事をはじめ、擁壁の新設や土地の造成工事が必要になる土地であれば、少なからずマイナスの評価が生じるはずです。かかる経費の全額とまではいかなくとも、多少は考慮される余地があると思います。

建付減価とは
売り物件が土地と建物のセットだったとき、建物が最有効使用の状態でない場合(活用の見込みが建物のとき)は、建物解体費用が土地評価額から控除されるという考え方があります。たとえば更地だと2,000万円の価格がつく土地の上に、解体工事に100万円に費用がかかる建物が存在している場合は単純に1,900万円がその物件の価値ということになります。

 

 

売主の契約不適合責任を免責する

契約不適合責任とは?
売買契約の売主は、買主に引き渡した物件の品質が契約内容に適合していないとき、買主に対して責任を負わなければなりません。
この責任のことを契約不適合責任といいます。
引渡し後も一定期間は責任を負わなければなりませんので、たとえば引渡から半年後に物件内で雨漏りしていることが発覚した場合は、建物の修補などを売主責任のもとで行う必要があります。

契約不適合責任は、売買契約を結ぶ上で売主にとっての大きなリスクとなります。そのリスクを少しでも軽減するため、インスペクション(建物状況調査)などを実施して引き渡しを行う売主も増えており、契約する上での負担となることが多いです。

もしも買主が建物の現状に納得しており、引渡し後も責任を負わなくてもいいという取り決め(免責)ができるのであれば、そのことを条件に値引きの交渉ができる場合があります。
物件の状況や購入目的を鑑みて、契約不適合責任の免責を提案してみるのも一考の余地があると思います。

 

ローン特約の削除(現金購入のみ)

融資を使わずに自己資金で購入するという条件も、取引の上では優位にはたらきます。
一般的な不動産売買契約にはローン特約が付帯されており、契約後に購入者の金融機関からローン非承認という結果が出た時点で、売買契約は白紙撤回(解除)となります。
撤回された売主は売却活動を1からスタートしなければならず、これが売主にとって大きなリスクとなるのです。

しかし購入者が現金で購入するのであれば、ローン特約を付帯せずに売買契約を締結することで途中で白紙撤回となるリスクが軽減されます。また、現金購入であれば金融機関のローン承認を待つ必要もないので、売買契約から清算まで短期間で行えるというメリットもあるのです。

自己資金で購入するとき、「ローン特約をつけなくてもいいので、値引きしてもらえないか」という条件を持ち掛けるのことは、売主にとってもメリットがある交渉だと言えます。

 

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