面積が大きい土地の取引を行うときは届出が必要です!【国土利用計画法】

面積が大きい土地の取引を行うときは届出が必要です!【国土利用計画法】 マイホーム購入
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真地 リョウ太  Twitter
1989年生まれ。2012年から不動産会社で売買実務を担当。不動産相続対策の案件も実績あり。本サイトでは業務経験から得たスキルをみなさんに発信できればと思っています。宅地建物取引士・行政書士試験合格・FP2級。好きな食べ物は梨。

 

大規模な土地の売買契約を行うときに必要な届出とはどういうものでしょうか?

 

大規模な土地取引を行う当事者には、取引内容を届出する義務が課されています。届出の義務を課している法律を「国土利用計画」といいます。

 

この法律の目的は、乱開発や無秩序な街づくりが行われるのを防ぐという点にあります。

 

取引当事者からの届出の内容を行政がチェックし、場合によっては勧告や助言がなされることもあります。

 

どのようなケースで届出が必要になるのでしょうか。法律の内容をチェックしてみましょう。

 

国土利用計画法の目的

民法の大原則に「私的自治(契約の自由)」というものがあります。取引は当事者が自由に行うものであるし、国家が干渉するべきではないという考え方です。

ところが土地について誰でも自由に無制限に取引を行ったり利用したりできるということになるとどうでしょうか。

日本国内にある土地は有限です。

これらの取引を無制限に許してしまうと、一定の地域の地価が暴騰してしまったり、自然環境への悪影響が生じたりという弊害が出ることが考えられます。

国土利用計画法は、限られた資源である土地(国土)を計画的に利用するために、大規模な土地の取引当事者に届出義務を課した法律です。

取引の実態を行政が把握することで、早い段階から適正な土地利用を促すという役割があります。

 

届出と申請のちがい

届出と似た言葉に「申請」というものがありますが、申請は「許可を出してもらうことを行政にお願いする」ということです。

希望や要望事項を願い出ること。特に、国や公共の機関などに対して認可・許可その他一定の行為を求めること。

出典:しん‐せい【申請】 | weblio辞書

許可が必要な行為をしようとするとき、申請が却下されれば当然その行為をすることができなくなってしまいます。

一方で「届出」は、簡単に言うと「必要な項目を行政に報告する」ということです。

役所・学校・会社の上司などに申し出ること。

出典:届出 | コトバンク

あくまで報告にすぎないので、届出が却下されたり、受理されなかったことで取引自体が無効になる、ということはありません。

(ただし、行政指導などが入る可能性はあります)

 

届出が必要になるケースは?

それでは、どのような土地を取引するときに届出が必要になるのでしょうか。内容をチェックしてみましょう。

 

取引の内容

国土利用計画法における「取引」は売買契約だけではありません。
下記に該当する取引があったときは届出の対象となります。

[一般取引]

・売買契約
・交換契約
・地上権、賃借権の設定や譲渡
・第三者のための契約(三為契約)
・予約完結権の譲渡
・買戻権の譲渡
・信託における受益権の譲渡
※共有持ち分の譲渡も含む
[法人取引]

・事業承継(事業譲渡)による土地の移転
・現物出資
[債権者⇔債務者]

・譲渡担保
・代物弁済

相続で土地を取得するケースは国土計画利用法の取引には該当しないので届出の必要はありません。

 

土地の規模

国土利用計画法では面積が一定以上の大規模な土地を届出対象としていますが、具体的な面積は、以下のとおり区域区分によって定められています。

区域区分 面積
市街化区域 2,000㎡以上
市街化調整区域 5,000㎡以上
非線引き区域 5,000㎡以上
準都市計画区域 10,000㎡以上
都市計画区域外 10,000㎡以上

 

1人の買主が複数の地権者から土地を買い集め、一団の宅地として上記の面積よりも大きくなった場合も届出が必要になります。

 

 

届出の義務者

国土利用計画法の届出は、原則として土地の取得者(買主)が行わなければなりません。

土地を取得したら、契約者名・契約日・土地面積・利用目的などを届出書に記載し、必要添付書類とあわせて契約日から2週間以内に市区町村役場の担当課に届出を行います。

必要書類等の詳細については事前に窓口へ確認することをおすすめします。

所有権移転日(取得日)ではなく契約締結日から2週間以内という点に注意です。(事後届出制)

 

届出の審査

土地取得者から届出を受けた行政庁(都道府県知事等)は、その内容が適正かどうかを審査します。

ここでいう「審査」は契約を許すかどうかという趣旨のものではなく、取得者の土地利用目的に対して何らかの助言や勧告を行うかどうかを検討するものです。

①審査→不勧告

問題なく土地利用が行われると判断された場合は「不勧告」扱いとされ、行政庁側が何か行動を起こすことはなくなります。

②審査→勧告

問題ありとなった場合、行政庁から土地取得者へ勧告が行われます。

勧告そのものに拘束力はありませんが、従わない場合は名前公表などのペナルティを受けることがあります。

③審査→助言

問題ありとまではいきませんが、適正・合理的な土地利用を図るために必要と判断されれば、行政庁から土地取得者へ助言がなされる場合があります。

 

注視区域と監視区域

土地価格の著しい高騰の心配がある地域については、「注視区域」あるいは「監視区域」に指定されることがあります。

注視区域・監視区域の大きな特徴は、届出を事前に行わなければならないということです。(事前届出制)

この地域内で取引を行う予定のある者は、売主・買主が共同して区市町村役場に契約内容を届け出る必要がありますので注意しましょう。

注視区域と監視区域の違い

これら2つの区域は、届出が必要になる面積のボーダーラインが異なります。

注視区域については事後届出制の手続きのときと同じ面積基準ですが、監視区域については都道府県知事などの行政庁が規則で面積基準を定めることができるものとされています。

 

罰則規定

国土利用計画法において届出が必要とされる取引にも関わらず義務を守らなかったり、虚偽の届出をした場合、6ヶ月以上の懲役、または100万円以下の罰金という罰則が設けられています。

 

大きな土地の取引があるときは届出を忘れずに

国土利用計画法は国策の一環として重要な法律ですが、我々民間人にとって大規模な土地取引はそうそうあるものではないので、慣れない手続きだと思います。

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