不動産を親から子に売却することは可能?親子間売買の注意点について解説します。

不動産の親子間売買 不動産の税金
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真地 リョウ太  Twitter
1989年生まれ。2012年から不動産会社で売買実務を担当。不動産相続対策の案件も実績あり。本サイトでは業務経験から得たスキルをみなさんに発信できればと思っています。宅地建物取引士・行政書士試験合格・FP2級。好きな食べ物は梨。

 

不動産を親子で売買するとき、気を付けなければならないことはあるのでしょうか?

相続対策や終活の一環で親子間で不動産売買を行うというケースが増えています。

 

特に、実家や家業拠点などのように代々承継させていきたい不動産においてその傾向が強いと思います。

 

親子間売買を行う場合、第三者に売却するときよりも気を付けなければならないポイントがいくつかあります。

 

今回は親子間売買の注意点を4つの観点から紹介したいと思います。

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誤った相続税対策をしてしまうと、かえって損をしてしまうこともあります。相続資産の多い人は、事前にプロの税理士に相談することをお勧めします。

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【注意点①】売買価格は時価相当の金額にしなければならない

親子間売買では適正価格を設定する必要がある

 

親子間の不動産売買で最も気を付けなければならないのが価格設定です。

相続対策などで親から子に所有権を移転することが目的というケースが多いと思いますが、親族間だからといって取引価格を意図的に安く設定してしまうと課税対象となることがあるということに注意が必要です。

たとえば市場価格2,000万円相当の不動産を売買するケースにおいて、親子という間柄という理由で500万円という破格値で売買したことを想定してみましょう。

このとき、相場よりも安く購入した1,500万円の部分については「贈与」とみなされる可能性があります。

一般贈与財産の速算表をもとに税額を計算すると、1,500万円に対して約450万円の贈与税が課税されることとなります。
([1,500万円-暦年110万円]×税率45%‐控除175万円)

参考:国税庁 贈与税の計算と税率

贈与税の課税対象にならないようにするためには、たとえ親子間であっても相場相当の売買価格(適正価格)を設定する必要があります。

適正価格とみなされる価格の下限は?

親子間売買の適正価格は?

原則として、相続税評価額を下回らなければ著しく低い価額と見られないことが多いようです。

ただしエリアによっては路線価と実勢価格との乖離が大きい場合もあり、適正価格はケースバイケースで変わることがあります。

贈与税の対象とならない価格の判断が難しいときは、資産税関係に強い税理士へ相談することをお勧めします。

 

【注意点②】居住用財産の特例控除が使えない

親子間売買は、マイホーム特例が使えない

 

■居住用財産の譲渡所得税の課税の特例とは?

居住用財産(マイホーム)を売却するとき、譲渡所得から最高3,000万円が控除される制度のことを居住用財産の特例といいます。

譲渡所得税は、不動産を売却した人が払うべき税金です。

ただし、売却する不動産がマイホームであれば譲渡益3,000万円までなら税金がかからないというのがこの制度の趣旨です。

この3,000万円控除枠には例外が存在し、「政令で定める特別の関係のある者」に譲渡するときは適用されないという規定があります。

親子はまさに「特別な関係のある者」に該当し、3,000万円控除が受けられないということを念頭に置いて取引を行う必要があります。

(6)売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。

特別な関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

出典:マイホームを売ったときの特例 | 国税庁HP

親子間売買は譲渡益をとることが目的ではないことが多いので、そもそも譲渡所得税ことを考えていない人も少なくないと思います。

しかし先代から相続で承継した不動産を譲渡するケースなど取得費が不明な場合、税制上の譲渡益とみなされる可能性が高いので注意しましょう。

「特別の関係のある者」には、本人(売主)の直系血族、同一生計を立てている親族、事実上婚姻関係のある者、使用人なども含まれます。

 

【注意点③】親子間売買は原則として住宅ローンが組めない

親子間売買では住宅ローンがつかえない?

 

金融機関は、親子間の不動産売買に対して住宅ローンを融資することに非常に消極的な傾向があります。

特に、売買したあとも売主(親)が住み続ける場合や、売買する前から親と子が対象不動産に同居している場合については、格段に難易度が高くなります。

一般的に金融機関は「親が所有する不動産は、子に対して相続や贈与によって承継するのが一般的であり、親子間で売買を行うのはレアケースである」という考え方をもっています。

本来であれば自然に承継されるべきであろう不動産に対して住宅ローンを融資してしまうと、その資金が別の使途に用いられるおそれがあることを金融機関側が懸念しているのです。

このことを考えると、親子間で不動産の売買を行うときは自己資金を調達することを前提にしておく必要がありそうです。

地方銀行や信用金庫などの場合、事情によっては特別に融資をOKしてくれるケースもあります。

普段から取引のある金融機関があれば一度相談してみる価値はあると思います。

 

【注意点④】親から子に不動産を売買すると相続資産が増える

親から子への不動産売却は相続対策にならない?

相続対策として不動産を親から子に売買する場合、不動産は子に移りますが、現金資産が子から親に移ることで節税対策として逆効果になってしまうことがあります。

たとえば親が所有している不動産の実勢価格が2,000万円だった場合、相続資産としては5~6割の1,000万円~1,200万円という評価額になります。

しかしこの不動産を子に売買することで親は新たに2,000万円分の現金資産(もしくは代金債権)を保有することとなります。現金資産や債券は額面が資産評価額となってしまいます。

売却後の資産評価額
2000万円の現金資産
1,000万円~1,200万円の不動産資産

つまり売却前の方が相続税の基礎となる資産評価が低かったということになるのです。

生前のうちに不動産を子に移しておくことで相続税対策になると考える人は多いですが、売買という手段を用いてしまうとかえって相続税が高くなってしまうことがあるということに注意しなければなりません。

 

 

子の不動産を親が買い取ることで相続税対策となることはある

反対に、子が持っている不動産を親が現金で買い取ることが相続税対策となることがあります。

先ほどとは真逆のケースを想定してみましょう。

子が実勢価格2,000万円の不動産を所有しているとき、親がその不動産を現金で購入することで、相続資産のうち2,000万円分の現金を2,000万円の不動産に変えることができます。

2,000万円分の不動産は、さきほど説明したように大体5~6割の評価となりますので、結果的に相続資産を減らすことができたという流れになります。

しかも親が買い取った不動産は相続財産として最終的には子に戻ってくることになるので、それまでの権利関係を明確にできれば有効な相続対策といえます。

ただし推定相続が複数人いるときは相続発生時に誰が承継するのかというトラブルになるおそれがあるので、遺言書をもって相続先を決めておくなどの対策が必要となります。

参考記事:相続税が払えなかったらどうなる?法改正によって課税対象者が増えています

 

【まとめ】不動産の親子間売買を行うとき注意点

親子間売買を行うときに注意しなければならないポイントをまとめると以下の通りです。

①適正価格で売買を行う!
②マイホームの3,000万円控除は使えない!
③住宅ローンは原則使えない!
④親の不動産を子が買い取っても相続税対策にはならない!
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