住宅ローンの金利には固定金利型と変動金利型があるけど、どちらを選ぶのが賢いですか?
自分に合った納得のできる金利方式を選ぶことが重要です。
固定型は将来の総額が試算できるため計画的な支払いが可能ですし、変動金利型は借入れ初期の金利が安いこといったメリットがあります。
それぞれの金利タイプがどのように決定され現在まで推移しているのか理解して、リスクを許容したうえで、自分にあった金利方式を選ぶのが賢いといえます。
住宅ローン金利の推移
住宅ローンの金利を設定する目安は変動金利型と固定金利型でそれぞれ違います。
景況感に左右されやすいためどのように金利が動くかを想定できれば有利な条件で借り入れできることになりますね。
まずは、その想定が可能かどうか超低金利と言われている現在まで、どのようにして金利が推移してきたのか確認してみましょう。
以下の表をご覧ください。
表リンク:https://www.flat35.com/loan/atoz/06.html
変動金利型の推移
変動金利型は1991年の8%代をピークに減少しそれから20年弱、現在の価格帯へと落ち着いています。
変動金利型は短期プライムレートに連動していているためプライムレートとはなにか?を読み解くことで今後どのように推移していくのか予測してみましょう。
短期プライムレートの予測
短期プライムレートは日本中央銀行が設定する政策金利に対応して増減します。
各銀行は短期プライムレートに約1%を乗じた額を基準となる金利(店頭金利)として設定し、基準となる金利から優遇金利を引いた額がローンを借りる際の金利となります。
政策金利が発表されるタイミングは日本銀行金融政策決定会合開催日です。
2月・5月・8月・11月を除いて毎月開催されています。日本の金利政策はデフレ脱却が最優先ですので物価上昇率と国民の可処分所得との差により経済バランスを見ながら引き上げられます。
簡単にはデフレを脱却できないとの見通しがあり、変動金利型の短期的な上昇も想定しづらい状況であると言っていいでしょう。
固定金利型の推移
固定金利型のグラフは2010年に4%を越えて以来、現在の価格帯から大きな変動はありません。
固定金利型は長期金利に連動しているため、日本の債券市場の動向を見通すことで今後のおおまかな金利の推移を予測することが可能です。
長期金利の予測
債権市場の代表的な指標として10年国債利回りがあります。
この長期国債利回りは戦術した短期プライムレートと同様に景況感に左右され、金融市場インフレ率や景況感により投資家心理の改善と共に上昇していきます。
長期的なリセッションと米中の覇権争いのなか強制的にインフレが推し進められている現状で日本の国債利回りが世界の水準に追い付かないのが現状です。
固定金利期間選択型
上述した2つの金利タイプとは別に一定の期間は固定金利型として期間満了後に再度、固定金利期間(変動金利型への変更も含む)を設定するといった金利タイプを固定金利期間選択型と言います。
期間は「2年、3年、5年、7年、10年、15年、20年」などがあり期間が短いほど低金利となります。
設定する時の固定金利に依存するため、将来の支払い総額が予測できないといったデメリットがありますが初期の金利は固定金利に比べ少額になることがメリットとしてあげられます。
超低金利時代の日本
ここまで書いた内容からも、金利が全く変わる予定がなければ安い変動金利型を選択するのが良いに決まっています。
しかし、日本は国政選挙の焦点となるほどデフレ脱却への経済戦略が偏ったものとなっており、政策金利については世界に先んじてマイナス金利を導入する程となっています。
円高圧力が大きく低金利政策を打ち出している日本において、これ以上金利が安くなる余地があるのか?を考慮しつつ、賢く住宅ローンの金利を選ぶにはどのような点に注意するべきなのでしょう。
ここからは変動金利型の特徴を捉え、デメリットをどのように受け止めるべきなのかについて解説していきます。
金利タイプ選ぶ人の割合は?
住宅金融支援機構の住宅ローン利用者の実態調査(2019年度)によると
・固定金利期間選択型を選ぶ人が25%
・全期間固定型を選ぶ人が15%
以上のような割合となっていて変動金利型を選ぶ人が半数以上であることが分かります。
金利型の選択で失敗しないために
金利の選択で失敗しないためにはどのようなことに気を付けるべきでしょうか。
変動金利型と固定金利期間選択型の注意点
変動金利型を選ぶことのメリットは固定金利型に比べて、払い始めの金利が安く済み金利が上昇しなければ固定金利型に比べて総支払額まで安く済むことになります。
しかし、金利が絶対に上がらないという保証はありません。変動金利型は固定金利型に比べ3倍程の金利差がありますが、その差が金利変動によるリスクを物語っているとも言えます。
変動金利型の特徴は5年ごとの金利見直しと直近の金利から125%以上の変動はしないというのが主流です。固定金利期間選択型であればこの125%ルールが適用されないため金利上昇局面において変動金利型よりもデメリットが多いと考えられます。
安いのには理由がありデメリットを最悪の事態まで許容できれば、変動金利型を選ぶのが多数派であるということですね。
変動金利型のデメリットを許容できるか
変動金利型は金利上昇局面でデメリットが顕著となります。
考えられるリスクは以下の通りです。
・金利上昇局面で元本が減らなくなる
・借入期間満期で元本が残ってしまう
順を追って説明しましょう。
まず、変動金利型である以上、将来の支払い額が定まることはありません。常に、金利が上昇した場合のリスクに備えておく必要が発生します。
次に金利が大きく上昇を始めた場合のリスクについてです。5年周期の見直しで直近の金利に対し125%を上限とする金利の上昇が最大のリスクとなります。
この際、金利増大により発生したコストを継続的に払っていけるのか?ということを将来に渡って考えておくことが大切です。
利息のみ支払ってばかりで元本が全く減らないという状態になると最悪な結果が待ち受けています。
最後に、元本を残したまま借入期間の満期を迎えてしまった場合です。
借入期間の延長は認められていないため、一括で返済する必要が発生します。
まとまった資金を用意できず支払えない場合は、支払い続けてきた高額な金利とともに持ち家を売却することや、破産を視野に入れることとなります。
借入れ総額と変動金利型の最悪シナリオを試算しよう
変動金利型は金利が上がらなければ安く、上がれば高くなるというギャンブル的な要素もあります。賢く利用するためには、借入期間と125%ルールにより最悪のシナリオを計算してみることが大切です。
金利上昇分を毎月の生活費当で吸収できる場合には変動型金利も有効な選択肢の一つとなりますが、少しでも金利上昇が厳しいというのであれば、固定金利型の検討をお勧めします。
申込時金利と実行時金利に注意
金利の決定時期は申込時の金利を適用する場合と融資が実行される時点での金利が適用される場合の2通りがあります。財形融資等の場合は申込時金利が適用されます。
フラット35やその他金融機関で適用される金利は実行時金利となっており住宅ローン実行時の金利が適用されます。
翌月の金利が分からない状況での契約時は金融機関から丁寧に説明があるはずですが、失敗のないように知識として覚えておきたい内容ですね。
金利の特徴を理解して賢い選択を
変動金利型と固定金利型では初期支払額の差で半数以上の方が変動金利型を選んでいます。しかし安さの影にはリスクも潜んでいることから大衆に合わせるのではなく最悪のシナリオを想定して、自分の場合、リスクを吸収しきれるのか試算することが大切であることを話しました。
マイホームの購入は素敵なライフイベントにしたいですよね。金利の変動によって最終的にすべてを失ってしまうことのないように慎重に賢く金利タイプを選んでいきましょう。