売買契約を締結したあとに解除できるケース ~契約解除の類型~

売買契約を締結したあとに解除できるケース ~契約解除の類型~ 不動産取引

 

 

 

 

 

不動産売買契約を交わしたあとに解除できるケースはどういうときですか?

契約解除にもいくつか類型がありますが、まずは契約書の中に書いてある「解除に関する条項」を適用させるのが一般的です。契約内容に基づいて契約を解除することを約定解除といいます。
契約書では処理ができないという場合に、合意解除法定解除を用いて処理を行うことになります。
解除は契約そのものを白紙撤回するという重大な効力を持つ規定ですので、売買契約の当事者は内容についてしっかりと理解しておかなければなりません。

 

 

【解除類型その1】約定解除

契約の解除には、約定解除・法定解除・合意解除という3つの類型があります。
実務の場で実際に契約を解除するということになったとき、まずは契約書の内容に基づいて処理をするのが一般的です。契約内容に基づいて解除することを約定解除といいます。

 

 

解除の効力発動について

解除に関する規定には、解除権留保型のものと解除条件型のものがあります。条項の書き方によって、解除の効力を発動させる扱いが異なります。
契約書を読むときは違いをよく理解しておくようにしましょう。

■解除権留保
ある条件下において、解除権者が自分の意志で解除するかどうかを決めることができる規定。
(例)ローンの承認が得られないとき、買主は、解除することができる。
→解除権者(買主)解除してもいいし、しなくてもいい。
 

■解除条件
ある条件が成就したとき、契約が自動的に解除となる規定。
(例)ローンの承認が得られないとき、契約は解除されるものとする。
→当事者の意思に関わらず勝手に解除になる。
 

※規定条項の書き方で、解除権留保なのか解除条件なのかを判断する。

 

 

契約書内の「解除に関する規定」の典型例

一般的に用いられている不動産売買契約書では、解除に関する規定として下記の条項を定めていることがほとんどです。

 

手付解除


売買契約時に買主から売主に支払われた手付金を用いて契約を解除することを手付解除といいます。(1)売主は手付金の倍額を買主に返還することで、(2)買主は手付金を放棄することで、当事者は相手の合意なく一方的に解除することができます。

手付解除は解除条項の中でももっとも汎用性が高く、比較的簡単に契約を白紙に戻すことができる手段です。
金銭を失うというデメリットは伴いますが、解除の理由は問われないので、たとえば「気が変わって購入したくなくなった」という場合であっても解除権を行使することができます

ただし、手付解除はいつでもできるわけではありません。
相手方が履行の着手(引渡しや代金支払いの準備)をしたあとは手付解除ができなくなってしまうということも念頭においておきましょう。

 

 

危険負担


売買不動産の引渡し前に、対象物件が売主・買主のどちらの責任でもない理由で滅失してしまったときに契約を解除できるという条項です。
たとえば引渡しまでの間に地震・落雷によって建物が倒壊してしまった場合や、隣地の火災からの延焼などで建物が滅失してしまった場合などに適用されます。

 

 

契約違反があったときの解除


当事者の間で契約違反があったとき、違反された方は、相手方に対して一定の期間を定めて催告をしたのちに契約を解除することができます。

催告とは?
相手方に対して義務を履行することを求めること。

違反があったからと言ってすぐに契約解除ができるのではなく、相手方に一定期間の猶予を与えた上でなければ解除権を行使することができないというのが法律の趣旨です。

ただし、相手方の履行不能が明確なときや、履行することを明確に拒絶されている場合については催告をする意味がありません。このようなケースでは違反があったときに直ちに契約を解除できます。(無催告解除)

 

 

反社会的勢力排除条項


契約当事者の一方が反社会的勢力だった場合、相手方は契約を解除することができます。
当事者が反社会的勢力の張本人だったときだけでなく、反社会的勢力に名義を貸して代わりに売買契約が結ばれていた場合や、反社会的勢力の利益のために売買契約を結ばれていた場合についても同条項で契約を解除することができます。

 

 

融資利用に関する特約


買主が、金融機関からローンの承認を得られないときに契約を解除することができます。(通称ローン特約)

 

 

契約不適合による解除


売買対象不動産に欠陥(契約不適合)があった場合、一定の条件を満たせば契約を解除することができます。

 

 

上記以外でも、例えば「農地転用の許可が下りなかった場合は契約を解除できる」「(登記簿の名義人が故人だったときなど)相続登記が完了できなかった場合は、契約を解除できる」というように、契約時の状況に応じて必要な特約を結んでおくこともできます。

 

 

 

【解除類型その2】合意解除

契約書に基づかずに売主と買主の合意によって解除することを合意解除といいます。

たとえば買主側が「手付解除」の解除権を行使するのであれば、契約書にもとづき、買主から売主に対して手付金を放棄しなければなりません。

しかし、売主側が譲歩して「今回は手付金を全額お返しした上で解除ということでもいいですよ」という合意が成り立てば、契約内容に関わらず新たに同意した条件が優先されます。

上のケースは、売主が複数の物件を売りに出しているときにおいて、買主が今回の契約を解除して他の物件を購入しなおしたいと交渉を入れたときなどに起こり得る状況です。

大原則としては契約書に記載されている内容が最も重要であり、合意解除はお互いにメリットがなければまとまらないことが多いと思います。
交渉の余地があるケースにおいては必ずしも契約書通りに解除しなければならないわけではないということを念頭に置いておきましょう。

 

 

 

法定解除とは

法定解除は、法律(民法)で規定された条文を根拠に契約を解除するというものです。
契約書に記載されていない状況が発生したとき、あるいは合意解約がまとまらないときなど、最後の砦として民法の規定を適用して契約を解除させるというイメージです。

もっとも、債務不履行があったときの催告による解除(民法541条)や、手付(民法557条)による解除など、法律上の規定ではありながらも契約書に同じ内容を記載しているものが多く、ほとんどのケースで約定解除による処理ができるような売買契約書になっています。
法定解除を適用せざるを得ないというときは当事者間の問題が比較的深刻なケースであると考えられます。

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