アパート建築を検討しているのですが、いろいろとリスクがありそうで怖いです。
長期間一括借り上げが保証されているサブリース契約だと安心してアパート運用できるのでしょうか?
アパート投資をする上で多くの人が不安に感じているのが入居率の低下による収入減少だと思います。
サブリース業者による一括借り上げサービスを利用することで満室状態を維持することができますが、注意点もあります。
サブリース業者の一括借り上げのメリット・デメリットについて考えてみましょう!
一括借り上げ(サブリース)とは
アパートのサブリース契約とは、簡単に言うと転貸(又貸し)を前提とした賃貸借契約のことです。
通常のアパート経営は大家さんから賃貸仲介会社へ客付けを依頼し、各入居者と直接賃貸借契約を結んでいくことが一般的です。
しかしサブリース契約は、サブリース専門業者が大家さんから建物を借り上げ、それを入居者に転貸するという形式のものです。
一括借り上げ(サブリース)のメリット
一括借り上げを利用することで、アパートオーナー側にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
常に満室状態が保たれる
一括借り上げは、対象物件がアパートのような共同住宅をサブリース業者が一棟丸ごとアパートオーナーから借り上げ、個別の入居者に転貸していくというものです。
オーナーとしては、アパートを常に満室状態に保てるというメリットがあります。
入居率が下がることによる収入減の心配がなくなるので収入が安定しやすく、多くのアパートオーナーがサブリースを採用しています。
管理や運営は、基本丸投げでOK
サブリース業者がアパートを一括借り上げした場合、アパートの客付けなどの事業活動は基本的にサブリース業者側で行うこととなります。
アパートを運営するためには知識やスキルが必要となる場面が多々ありますが、サブリースの場合は業者に一任できるというのもオーナー側にとってはメリットとなり得ます。
ただし、丸投げ=100%安心できるというわけではありません。
運営を一任することによって、アパート賃貸事業が成功するか否かはサブリース業者のスキルに左右されることとなります。
相手業者の能力によっては、事業が共倒れしてしまうリスクもあるということを念頭に置いておく必要があります。
また、一任することでオーナー側からサブリース業者へ事業方針の口出しがしにくくなるというケースもあります。
信頼できるサブリース業者であれば運営・管理を一任できることはメリットとなりますが、そうでない場合は足枷となってしまうおそれもあるので、業者選びは慎重に行わなければなりません。
一括借り上げ(サブリース)のデメリット
一括借り上げの利用を検討するならデメリットについてもしっかり理解しておかなければなりません。ここからは一括借り上げのリスクとデメリットについて考えてみましょう。
1室あたりの収入は一般の家賃相場より低い
アパートをサブリースとして賃貸するとき、賃料が相場よりも低く設定されるというデメリットがあります。
サブリース業者が入居者(エンドユーザー)へ相場水準の家賃で転貸するために、アパートオーナーから相場以下の賃料で借り上げしなければ採算をとることができないからです。
アパートオーナーから借り上げるときの賃料と、入居者へ貸し出される賃料の差を「家賃差額」といい、これがサブリース業者の収入源となります。
(契約によっては、家賃差額ではなくサブリース手数料として徴収される場合もあります)
家賃差額はおおよそ10~20%ほど開きがあることが多いので、アパートオーナーの手元に入ってくる収入は相場の80~90%程度ということになります。
家賃額が保証されているわけではない
「一括借り上げ」「30年間家賃保証」などと謳うサブリース商品は、多くの場合、借り上げ期間中の家賃収入の金額までを保証する契約内容とはなっていません。
借り上げ期間中の満室収入は保証されていますが、築年数経過や相場変動などを理由にした家賃見直し(減額)が不定期に行われることがあります。
サブリース契約でトラブルになりやすいのは、家賃の見直しに関するルールが決まっておらず、業者側から一方的に金額を決められてしまうというケースです。
一般的なサブリース契約では「近隣の同条件建物の家賃相場と比べて不相応に高くなってしまったら、見直しを行います」という抽象的な契約になっていることが多いと思いますが、本来であればあらかじめ具体的なルールが定めておくべきことだと思います。
「相場と比べて不相応かどうかはどのように決まるのか・・・?」
「どれくらいの頻度で見直しが行われるのか・・・?」
「見直しはどのような計算式を根拠に行われるのか・・・?」
というような要点が不明瞭な契約内容だと、トラブルになってしまう可能性が非常に高いのです。
※通常のアパート経営においても築年数経過による家賃見直しが必要になることがありますので収入減のリスクはサブリース契約に限った問題ではありませんが、賃料設定などオーナーに決定権がないというのが不利となることがあるという点は要注意です。
内容改定で合意に至らなければ一括借り上げが解除されることも…
更に「家賃の見直しに折り合いがつかない場合は一括借り上げが解除されます」という趣旨の特約が付与されているときは、大家さん側にとっては不利な契約内容だと言わざるを得ません。
保証という言葉を信用して多額の費用をかけて建築したアパートを期間中に突き放される形になってしまうというのは大家さんとしては非常に困ることだと思います。
実際、サブリース業者との一括借り上げの家賃見直しに関する法的紛争は珍しくなく、トラブルとなっている事例は多数ありますので、契約をするときは必ず「一括借り上げを継続するための条件」を確認しておきたいところです。
オーナー側に不利な条件が設定されることがある
一括借り上げのサブリース契約を継続するために、アパートオーナー側に条件が付加されていることがあります。
たとえば、「建物メンテナンスは全てサブリース業者に委託すること」などという条件です。
外壁塗装や室内修繕など大きな工事から、共用部分の電球交換などといった日常的なメンテナンスまでを決まった業者に委託しなければならなくなります。
ここでトラブルになりがちなのが費用の問題です。工事の発注は一社に限られると比較できる業者がいないので、費用が相場よりも高くなってしまうことがあります。
メンテナンス項目以外でも、借り上げ期間中に大家さんが守らなければならないルールが規定されていることがあり、基本的にはサブリース業者側の運用方針に従わなければなりません。
万が一違反した場合はサブリースが解除されるという特約が付いていることもあります。ルールの内容と、それに対するオーナー側のデメリットはしっかり把握しておかなければなりません。
メリット以上にデメリットを理解する必要がある
①一括借り上げを利用することで満室状態を維持することは可能だが、収入額までを保証するものではない
②オーナー側に不利な契約内容となっていないか確認する必要がある
アパート投資をする上で入居率低下のリスクに頭を悩ませるオーナーは多いです。常に満室状態が保たれる一括借り上げはとても魅力的なシステムに見えると思います。
しかしサブリース業者側の目線で考えると、一括借り上げシステムを維持するためにはしっかりと利益をとっていく必要があります。
お互いがWIN-WINの契約であれば理想的なのですが、サブリース業者の採算がとれなければ結果的にオーナー側にしわ寄せが来るという側面もありますので、一括借り上げ利用者に全くリスクがないうことは絶対にないということを意識しなければなりません。
一括借り上げサービスを利用するなら、サブリース業者と対等にネゴシエーションができるだけの最低限のスキルは身に着けるべきだと思います。
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