建物が建てられない土地がある…!?建築不可物件の典型事例を紹介します

マイホーム購入
PR

マジメに不動産

真地 リョウ太  Twitter
1989年生まれ。2012年から不動産会社で売買実務を担当。不動産相続対策の案件も実績あり。本サイトでは業務経験から得たスキルをみなさんに発信できればと思っています。宅地建物取引士・行政書士試験合格・FP2級。好きな食べ物は梨。

 

建築できない土地があると聞きました。具体的にどのような土地が建築不可なのでしょうか。

建築を制限する法律にはさまざまなものがあります。
一見問題なく建築できそうな土地に見えても、思わぬ規制がかけられているケースもありますので、土地を取引するときは規制内容の調査が重要です。
今回は典型的な建築不可物件の事例を紹介したいと思います。

 

建築不可事例① 市街化調整区域内の土地

建物の建築が制限される代表的な地域が、都市計画法で定められる市街化調整区域です。

都市計画法は、不健全な都市発展を防ぐために行政が主体となって都市をあるべき姿に導いていくために都市計画(都市と自然を区域分けする計画)を策定するという法律です。

市街化調整区域は、主に農地や森林を保護する必要がある地域等において市街地の拡大を防ぐことを目的として定められるエリアです。

そのため、市街化調整区域には原則として建物が建てられません。

都市計画の区域区分

都市計画区域区分については、以下のものがあります。
土地を調査するときは、まずは都市計画のどの区域に該当するかを調べる必要があります。

都市計画法の区域区分

都市計画区域
都市計画が定められている地域
●線引き区域
発展エリアと抑制エリアの区切りがされている区域
①市街化区域
市街地を発展させていくための地域
②市街化調整区域
市街化を抑制する地域。原則として建物がつくれない。
③非線引き区域
発展エリアと抑制エリアが明確に区別されていない。市街化区域に次ぐ「準都会」というイメージ。
④準都市計画区域
都市計画に準じた計画がある
・都市計画区域ほど規制は厳しくないが、将来の都市としての整備を保全するために無秩序な開発や建築を制限している地域
⑤都市計画区域外
都市計画が定められていない
・都市計画が定められていなく、建築に関する厳しい規制はない。自治体などが条例などで建築ルールを定めている場合がある。

※日本全国どの土地も例外なく
①市街化区域
②市街化調整区域
③非線引き区域
④準都市計画区域
⑤都市計画区域外
上記のいずれかに該当しています。都市計画の区域は市区町村役場などで確認することができます。

例外的に市街化調整区域でも建築可能なときがある

市街化調整区域においても、許可が得ることで例外的に建物が建てられる場合があります。
許可の要件については自治体条例等によってルールが定められているので、確認してみるようにしましょう。

同じ市街化調整区域内なのに近隣には建物が建っているという場合は、自治体独自の特例がある場合があります。行政で確認するときは、近隣の建物がどのようにして建築できたのかも併せて聞いてみるようにしましょう。

 

建築不可事例② 農業振興地域内の土地

農業振興地域とは、農業の利用を確保するために指定される地域です。この地域に指定されている土地は、原則として農業のための利用以外は認められません。

農家が居住するための住宅を建築するときなど、ごく限られた条件で可能な場合もありますが、一般の方が農業振興地域内の土地を購入して建築することは非常に難しいです。

なお農業振興地域は数年ごとに見直しがあり、農業振興地域から除外されることがあります。将来の除外の計画については、役所の担当課で確認することができます。

 

建築不可事例③ 崖崩れ・土砂崩れの危険性がある土地

建築計画の敷地周辺に崖地や勾配の強い土地がある場合、がけ崩れや土砂崩れによる被害を防ぐために建築が制限されることがあります。

制限される法令には、主に宅地造成規制法崖条例があります。

宅地造成規制法

崖崩れなどの危険性がある場合、宅地造成規制法にもとづく規制区域に定められていることがあります。

規制区域内にある土地で一定の工事を行うときは、原則として都道府県知事等の許可が必要です。

許可が必要な工事には土地の盛土や切土などがあります。許可を得るためにはあらゆる技術基準をクリアする必要があり、高額な費用がかかるということも念頭においておかなければなりません。

崖条例

崖条例は、宅地造成規制法の規制区域に関わらず、崖としての条件に該当した場合に規制がかけれるものです。

建築する敷地の付近に崖がある場合は、原則として自由に建物を造ることができません。

建築するためには、(1)安全性が認められた擁壁を設置する、(2)崖から一定以上の距離を保つなどの措置をとる必要があります。

 

建築不可事例④ 接道していない土地

道路がない土地に建物が立ち並んでしまうと、建物や敷地が有効に利用できなくなるほか、建物で火災が発生したときなどに容易に避難・救助活動ができないということが起こります。

このような問題を防ぐために、建築基準法では建物を建築するためには敷地が道路に2m以上接しなければならないと規定されています。このことを接道義務といいます。

道路に接していない土地は「袋地(または囲繞地)」と呼ばれ、周辺相場より安く売りにでることがありますが、単独では建築することができないので要注意です。

袋地を有効に活用するには、道路に接する隣地の所有者から接道に必要な土地の一部を購入するなどして接道義務を満たす方法があります。

接道義務の最低条件

建物を建築するための接道は、①その建築基準法上の道路であること②原則として道路の幅が4m以上あること(地域によっては6mの場合もあり)③建築する土地が道路に2m以上接していることなどの要件が求められます。

建築基準法上の道路とは

上の項目の①で説明した「建築基準法上の道路」は法律で定義づけされています。外観上道路に見えてもそれに該当しないことがあるので要注意です。

なお、建築基準法上の道路には以下の種類があります。接道義務を果たすためには前面道路が下記のどれかに該当していなければなりません。

1項 1号道路 国道、県道、市町村道などの一般的な公道です。
2号道路 都市計画や区画整理の制定によって新しく築造された道路です。(開発道路)
3号道路 建築基準法が施行される前から存在する古い道路です。(既存道路)
4号道路 これから事業が執行される予定の都市計画内の道路等です。(都市計画道路)
5号道路 民間が築造した私道で、行政庁に道路であると認められたものです。(道路位置指定)
2項道路 建築基準法が施行される前から存在し、その時点で建物が立ち並んでいた幅員4m未満の細い道路です。(みなし道路)

※建築上の道路に該当しないもの=農道、里道、専用通路など

 

建築不可事例⑤ 敷地面積の最低限度を満たしていない土地

条例や地区計画などで「敷地面積の最低限度」の規制が定められている場合があります。たとえば最低限度=200㎡と定められている地区内において、200㎡よりも小さい敷地には原則として建物が建てられません。

敷地面積の最低限度は、狭小建物が立ち並ぶことで圧迫した街並みになってしまうことを防ぎぐことを目的に定められます。

なお、この規制は主に宅地供給・ニュータウンや区画整理事業地などでかけられるケースが多く見られます。面積最低限度規制の有無については役所担当課にて確認する必要があります。

 

まとめ:建物が建築できない土地は評価が低い

建築不可の典型的事例について説明してきましたが、建築する上での規制はこの他にもいろいろあります。

建築目的の土地を探しているときは規制内容をしっかり調べなければなりません。

また、このような土地を売る場合においても、買主とトラブルにならないために問題点をきちんと把握しておく必要があります。

タイトルとURLをコピーしました