瑕疵担保責任から契約不適合へ、改正で何が変わった?【責任対象編】

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真地 リョウ太  Twitter
1989年生まれ。2012年から不動産会社で売買実務を担当。不動産相続対策の案件も実績あり。本サイトでは業務経験から得たスキルをみなさんに発信できればと思っています。宅地建物取引士・行政書士試験合格・FP2級。好きな食べ物は梨。

 

民法改正によって契約不適合責任というルールが新しくできましたが、瑕疵担保責任から何が変わったんですか?

契約不適合責任が施行されたことにより、売主の責任の対象が広くなりました

 

ですので不動産を売却するときは、売主としての責任の内容をよく理解した上で慎重に契約締結にのぞんだ方がいいでしょう。

 

本記事では改正によって具体的に何が変わったのか、ポイントを解説します。

本記事では、売主の責任範囲を中心に改正ポイントの解説をしています。

契約後にトラブルが発生したときの規定については、下記をご覧ください。
参照記事:瑕疵担保責任から契約不適合へ、改正で何が変わった?【トラブル発生時編】

 

【改正ポイント】売主の責任となる対象範囲が大きくなった

瑕疵担保責任から契約不適合へ、改正で何が変わった?【責任対象編】
今回の民法改正により、売主の目的物に対する責任の対象(定義)が大きくなりました。

まずは新旧それぞれの内容を確認してみましょう。

■旧民法の「瑕疵担保責任」

瑕疵 = 通常、有するべき品質・性能を欠いていること。
売主は、対象不動産に隠れた瑕疵があったときに責任を負わなければならない。
■改正民法の「契約不適合責任」

不適合 = 種類、品質、数量に関して契約の内容に適合していないこと
売主は、対象不動産が契約の趣旨に適していないときに責任を負わなければならない。

瑕疵担保責任(改正前)

旧民法の瑕疵担保責任において、売主は目的物の隠れた瑕疵について責任を負うこととされていました。

隠れた瑕疵とは、簡単にいうと客観的に見ただけでは気付かないような潜在的な欠陥のことです。

建物の壁面内部にある亀裂や雨漏りは目視では分かりにくいことが多いですので、売買契約が終わったあとも一定期間売主が責任を負わなければならないという趣旨でした。

「隠れた瑕疵」に対する責任を規定した内容なので、隠れていない瑕疵(=誰が見ても明らかな欠陥)については原則として責任の対象外となっていました。

契約不適合責任(改正後)

一方、新設された契約不適合責任は、目的物が契約の趣旨に適合していないことに対して責任を負わなければなりません。

たとえば建物の売買契約において、契約時点で「この物件は雨漏り発生はしません」と言っていたのに、いざ住んでみると雨漏りが発生してしまったときは売主は不適合責任を負います。

契約内容と実物に相違があったときのための買主の保護規定というイメージです。

欠陥が隠れているか否かは問われないというのが瑕疵担保責任との大きな違いです。
このことから、改正によって売主の責任の範囲は広くなったと言えます。


「契約に適合しない」という考え方

瑕疵担保責任から契約不適合へ、改正で何が変わった?【責任対象編】

契約不適合責任の有無を判断するときは、目的物が契約内容に適合しているかどうかがポイントとなります。

ここで言う契約内容は、契約書に書いてあることだけではないということに注意が必要です。

契約不適合を考える上では、「社会通念上、売買契約をする上で目的物に求められる品質が保たれていること」は、たとえ契約書に明記されていなくても契約内容の一部であると考えられます。

たとえば建物を購入するとき、「建物で雨漏りが発生しても問題ありません」と普通は考えないですよね。

特段の意思を表明しなくとも、雨漏りが発生しないことを期待して購入するのが一般的です。

社会通念上、建物というものは雨漏りしないことが当たり前であって、わざわざ契約書に明記しなくても「雨漏りがない状態の建物を引き渡すこと」は売主の当然の義務だと考えられます。

したがって売買契約書に「この建物では雨漏りが発生しないことを約束します」という文章が書いてあろうがなかろうが、雨漏りが発生してしまった時点で「契約に適合しない」と解釈され、売主が契約不適合責任を負うということになります。

 

売主がとるべきリスクヘッジ

瑕疵担保責任から契約不適合へ、改正で何が変わった?【責任対象編】

上記のケースのように雨漏りが発生している建物を売買するというときは、あらかじめ契約の内容に「この建物は雨漏りがあるので、それを了承して購入してください」と記載があれば、雨漏りが発生しても契約に不適合はないことになります。

このように売買対象の不動産がかかえている問題点や欠陥をリスト化して契約内容としておくことで、それらは契約不適合責任ではなくなります。


欠陥を明確化するためにホームインスペクションを行うことが望ましい

■ホームインスペクションとは?

専門家による建物状況調査のことをホームインスペクションといいます。

建物躯体の重要な部分の劣化状況をはじめ屋内外の様々な箇所を調査し、建物の問題点を可視化することができます。

さきほど欠陥をリスト化するという話をしましたが、欠陥には売主も気付いていないような隠れたものも多々あります。

それらを可視化するために、不動産を売買するにあたってホームインスペクション(建物状況調査)の実施が推奨されています。

ホームインスペクションの調査報告内容を事前に買主に告知することで、売主の契約不適合責任リスクが大幅に軽減されるというメリットがあります。

また買主にとっても、自分がこれから購入する物件の状態を詳しく知ることができるので、双方にとって望ましい状況と言えます。

 

改正ポイントのまとめ

改正ポイント

・売主は、隠れた欠陥でなくても責任を負わなければならない
・不適合に該当するかどうかは、社会通念に照らして判断する

今回の記事では、瑕疵担保責任から契約不適合責任に変わったことによって契約実務で注意するべきポイントについて解説しました。

別記事で、実際に契約不適合が発覚したときに法的にどのように処理されるのかというテーマで「トラブル発生時」の改正ポイントについて紹介しています。良かったら合わせてご覧ください。

参照記事:瑕疵担保責任から契約不適合へ、改正で何が変わった?【トラブル発生時編】

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