注文住宅の清算方法「出来高払い」とつなぎ融資の流れをわかりやすく

【建売住宅はやめとけ?】みんなが思う「建売住宅の疑問」に答えます! マイホーム購入
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マジメに不動産

真地 リョウ太  Twitter
1989年生まれ。2012年から不動産会社で売買実務を担当。不動産相続対策の案件も実績あり。本サイトでは業務経験から得たスキルをみなさんに発信できればと思っています。宅地建物取引士・行政書士試験合格・FP2級。好きな食べ物は梨。

 

注文住宅でマイホームを建てるときの建築費の支払い方法を教えてください。

注文住宅の工事費は、工事費契約時・着工時・棟上完成時・竣工引渡時というようにあらかじめ決めておいた段階ごとで分割して代金を支払っていくのが一般的です。

 

このような支払い方法を出来高払い制といいます。

 

建物を購入するときの売買契約とは契約後の流れが全く異なりますので、注文住宅を建てる予定がある人は契約後の流れを押さえておきましょう。

 

建売住宅と注文住宅の根本的な違い

建物を取得する契約
売買契約…現存している建物の権利を売主から買主に移転する契約
請負契約…注文者が建物の工事を請負人に注文し、建築してもらう契約

 

注文住宅を取得する契約は、施主から建築業者(工務店)にマイホーム建築を発注する建物建築請負契約という位置づけになります。

すでに出来上がった建物を購入する売買とは契約の種別が全く異なります。

代金の支払い方法についても相違があるので、注文住宅を発注するときは流れを押さえておきましょう。

住宅の種類 建売住宅 注文住宅
契約類型 売買契約 請負契約
業者 宅建業者 建設業者・建築士
内容 すでに出来上がっている不動産を購入 建物の建築工事を注文する
代金支払い 引渡しと同時 出来高払い制

 

支払いは建物完成状況に応じた出来高払い制が一般的

建物を売買で取得するときは、原則として引渡と同時に代金を支払います。

一方で注文住宅の建築費は建物の工事の段階に応じて複数回に分けて中間金を支払っていく「出来高払い制」で契約するのが一般的です

出来高払いにすることで建設業者側には資金繰りに無理なく工事を行えるというメリットがあり、発注者側には現場の品質が保たれやすくなるというメリットがあります。

支払い方法 発注者(施主) 建設請負業者
先払い制 リスク高 リスク低
出来高制 お互いのリスクを軽減しながら、円滑に現場を進めることができる
後払い制 リスク低 リスク高

 

出来高制の流れ

出来高払いの流れとしては、①契約締結時、②着工時、③棟上工事完了時、④竣工・引渡時に分けて支払うのが一般的です。

 

契約締結時

建物建築請負契約を締結するとき、手付金として先に代金の約10%程を支払います。

契約後に施主と建築士でプランニングの打ち合わせなど必要な準備を行い、工事着工に向けて進行します。

 

着工時(工事着手)

現場の工事が着手されたとき、工事着工時金として約20~30%を支払います。

建築会社によっては、着工時と基礎工事で中間金を更に分割する場合もあります。

 

棟上完了時

棟上げとは建物の骨組みの工事がすべて終わり屋根が上がる段階のことをいいます。

棟上完了時に中間金として20~30%を支払います。棟上のあとは、内装や外構工事などの仕上げに入っていきます。

 

竣工・引渡時

建物の工事がすべて完了して引渡を受けるときに、施主が残代金を全て支払うことで契約は完了となります。

 

 

建設中に追加工事が発生した場合

建築工事中に追加でオプション工事を依頼することもあると思います。

通常は引渡時の残金清算のときにまとめて支払うのが一般的ですが、金額が大きいときなどは都度清算を求められることがあります。

追加工事を依頼するときは支払いタイミングについても確認しておくことをお勧めします。

出来高払いをするときの資金調達

2,000万円のマイホーム建築工事を発注したときの出来高払い条件について、下記のような物件があったと仮定します。

契約金額 2,000万円
①契約時 10% 200万円
②着工時 10% 200万円
③基礎完了時 20% 400万円
④棟上げ完了時 30% 600万円
⑤引渡時 30% 600万円

発注者は各工程で計5回に分けて代金を支払っていくことになりますが、ここで考えなければならないのが支払いの資金調達についてです。

銀行の住宅ローンは原則として建物の引渡しを受けて担保設定ができるようになってからでなければ融資が実行されませんので、本来であれば融資実行までの間は自己資金で中間金を立て替えなければならないのです。

しかし、数百万円の中間金を数回に分けて現金で準備できるという人は稀だと思います。

住宅ローンの融資が実行されるまでの間、一時的に融資を受けられる制度が「つなぎ融資」です。

 

つなぎ融資

つなぎ融資は、中間金を建築業者に支払うタイミングで必要な金額を銀行から段階的に借り入れていくものです。

上記の工事(例)においては、着工時に200万円、基礎完了時に400万円、棟上完了時に600万円、合計して1,200万円つなぎ融資を受けることができます。

(銀行によっては契約時の200万円についても初回つなぎ融資実行時に借入れできる場合があります)

 

 

最終金の清算と住宅ローン融資実行

②・③・④のつなぎ融資を受ける場合、棟上完了時点のつなぎ融資総額が1,200万円となっています。

建築工事代金のフルで住宅ローンを組んでいる場合は⑤の引渡時点で2,000万円の融資実行がありますので、このときに1,200万円を銀行に一括で返済(相殺)します。

融資額2,000万円から1,200万円を相殺した800万円から⑤の最終金600万円を支払い、最終的に手元に残った200万円が①で立て替えていた手付金ということになります。

 

つなぎ融資を受けるには

つなぎ融資を受けるためには、その根拠となる注文住宅のローンの承認が受けられていることが必要です。

住宅ローンを申し込みをするときに、つなぎ融資を利用する旨を必ず銀行員に申し伝えるようにしなければなりません。

出来高の支払い条件は建築業者によっても異なる

本記事では出来高の支払い条件の例として一般的な割合を用いましたが、実際の条件は建築業者によっても異なります。

発注者側にとって不利な支払い条件になってないか注視するようにしましょう。

また、建売住宅を購入するときよりも支払いの手続き方法がやや煩雑ですので、しっかりサポートしてくれる業者を選定することも大切です。

 

 

業者選びの際は、対応の親切さなども判断基準の一つとして考えるようにしましょう。

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