
フラット35ってどんな住宅ローンですか?

フラット35は、全期間固定金利が特徴の住宅ローンです。
将来、金利相場が高騰しても返済が変わらないというメリットがあります。
それ以外にもメリットがいくつかあるので、今回はフラット35について詳しく紹介します。
フラット35とは
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が貸し出しを行っているフラット35は、全期間固定金利というのが最大の特徴の住宅ローンです。
融資を利用する際は民間の金融機関(銀行など)から申し込むことができます。
フラット35の金利は銀行の住宅ローンよりやや高めに設定されていますが、借入期間は金利がずっと固定されていますので、返済計画が立てやすいというメリットがあります。
フラット35の住宅ローンは融資額が伸ばしやすい?
フラット35の融資審査では返済負担率の上限が高めにみられるので、銀行よりも融資額が伸ばしやすい(借入可能額を多くしやすい)という傾向があります。
また、フラット35の審査では年収の多寡は基本的に問われません。年収が少ない人でも、無理のない返済負担率の範囲なら融資の申込みができるという特徴があります。
ただし、原則として購入価格の全額融資ができません。
一般的には物件価格の約 9割までしか借りられないことが多く、一部自己資金を用意する必要がありますので、慎重に資金計画を立てなければなりません。
フラット35なら非正規社員でも住宅ローンが組める?
多くの銀行の住宅ローンでは、勤務形態が正社員でなければならなかったり、勤務年数の制限がかかっていたりすることが多いです。
フラット35なら、パートやアルバイトなどの非正規社員でも直ちに融資対象外とはなりません。
また、勤務年数が短くても申し込むことができるので、民間の銀行でローンの申し込みができないという人でも利用できるというメリットがあります。
その他、親子リレー形式のローンを組むことで、返済途中でローン債務を親から子へ移行することもできるので、より多くの人が住宅ローンを利用することができます。
フラット35の住宅ローン金利は高い?
フラット35の適用金利は、利用する人によって異なります。
住宅金融支援機構のホームページでは毎月、最頻金利(一番適用頻度の多い金利)が発表されています。
令和4年1月時点での最頻金利は、1.3%(35年間借入の場合)となっています。
近年の銀行の住宅ローンは変動金利0.5~1.0%前後を推移しているため、フラット35の金利は高いという印象を持っている人が多いと思います。
ただ、変動金利には将来金利が高騰するリスクがあります。ですので初期金利が低いからといって必ずしもいいとは一概には言えません。
フラット35なら、金利相場が高騰したとしてもローン返済額には一切影響しないので、安心して返済計画を立てられるというメリットがあります。
また、金利が固定されていること以外でも、融資額を増やしやすいというメリットや、審査が通りやすいというメリットがあります。
それらのメリットとデメリットを踏まえて、自分に合っているかどうかを判断するようにしましょう。
フラット35の金利を下げる方法
さきほどフラット35は金利がやや高めに設定されているというお話をしました。
金利が高いということで、フラット35の利用を選択肢から外してしまうという人は少なくありません。
しかし、フラット35の金利を下げる方法があるとすればどうでしょうか。
物件が一定の条件を満たせば、フラット35よりも金利が低い「フラット35S」を利用することができるようになります。
フラット35の利用を悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
フラット35Sはどんな住宅ローン?
フラット35S(エス)は、通常のフラット35よりも金利が優遇された住宅ローン商品です。
【フラット35】Sとは、【フラット35】※1をお申込みのお客さまが、長期優良住宅※2など、省エネルギー性、耐震性などを備えた質の高い住宅を取得する場合に、【フラット35】の借入金利を一定期間引き下げる制度です。
35年間は金利が固定されているという点においてはフラット35と同じですが、フラット35Sの場合は一定期間(5年間or10年間)0.25%の引下げが受けられます。
令和4年1月時点での最頻金利は1.3%となっていますので、フラット35Sを利用できる場合、一定期間は1.05%(1.3%-0.25%=1.05%)が適用されるということになります。
なお、フラット35Sを利用するためには物件の審査を受ける必要があります。購入対象物件が一定の条件を満たしていなければフラット35Sの融資対象になりません。
条件についてはのちほどご説明します。
フラット35Sにも2種類ある
フラット35Sの中にも、「金利Aプラン」と「金利Bプラン」という2つの種類があります。
プラン | 物件基準 | 金利引き下げ期間 |
金利Aプラン | やや厳しめ | 10年間 |
金利Bプラン | 若干優しく設定 | 5年間 |
金利Aプランとは
金利Aプランを利用するためには、やや厳しめの物件基準を満たしている必要があります。
具体的には、①省エネ性、②耐震性、③バリアフリー性、④耐久性のうちどれか1つの項目が、一般的な住宅よりも優れた性能であることを証明するために一定の基準を満たす必要があります。
金利Aプランが利用できる場合、0.25%の金利引き下げ期間は10年間となります。
金利Bプランとは
金利Bプランにも物件基準がありますが、Aプランに比べると基準は若干優しく設定されています。
ただし、金利引き下げ期間は5年間しか適用されません。
金利プラン | 金利Aプラン | 金利Bプラン | |
建物種別 | 新築・中古共通 | 新築住宅 | 中古住宅 |
省エネ性 | 一次エネルギー消費量等級5以上 | 一次エネルギー消費量等級4以上ほか | ・二重サッシ等の使用
・住宅性能評価の交付 |
耐震性 | 耐震等級3以上 | 耐震等級2以上ほか | - |
バリアフリー性 | 高齢者等配慮対策等級4以上 | 高齢者等配慮対策等級3以上 | ・浴室および階段への手すり設置
・屋内の段差フリー |
耐久性 | 長期優良住宅 | 劣化対策等級3以上ほか | - |
バリアフリー設計ならフラット35S(Bプラン)が使える
購入する住宅のバリアフリー性が高ければフラット35Sの金利Bプランが利用できます。
バリアフリー設計というと大掛かりな工事が必要になりそうなイメージですが、浴室内や階段に手すりが設置されていれば基準を満たすことができます。
バリアフリー以外でフラット35Sを使うには?
バリアフリーの基準以外でも、先ほどの審査基準のどれかを満たしていればフラット35Sを利用することができます。
ただし、各項目の等級を上げるためにリフォームを実施したり、適合判定に必要な図面を作成したりする必要があるので、結構な時間と費用がかかることがほとんどです。
費用対効果の面でみると、バリアフリー(手すり設置)の項目がもっとも手っ取り早く基準を満たすことができるのではないでしょうか。
ただし住宅の企画や構造によっても工事のしやすさなどが変わってきますので、フラット35Sを利用したい人はあらかじめ不動産業者や設計士に相談するようにしましょう。
まとめ:フラット35のメリットを理解して利用を検討しましょう
「フラット35は金利が高いから」と、選択肢から外してしまっている人は珍しくありません。
しかしそれ以上に、フラット35を利用するメリットの方が大きい人もいるというのも事実です。
フラット35のメリットとデメリットを理解して、選択肢の一つとして検討してみるのはいかがでしょうか。
フラット35 | |
メリット | ・金利が固定されているので、安定感がある
・審査が通りやすい(低年収、非正規雇用社員でも通る場合がある) ・借入金額を伸ばしやすい ・フラット35Sが適用されれば金利の優遇がある |
デメリット | ・変動金利よりも、金利がやや高い
・一部自己資金が必要になる場合がある |
なお、金利の適用条件やメリット、デメリットは、住宅ローン購入者の状況によっても大きくことなる場合があります。
どの住宅ローンを利用した方がいいかは、人によって正解が違いますので、気になる人はハウスアドバイザーに相談するというのも一つの選択肢です。
ハウスアドバイザーは不動産業者の社員ではなく、第三者としての立場で希望者に住宅購入のイロハを教える、いわば「住宅アドバイスのプロ」です。
「今すぐ購入するつもりはない」と言う人でも無料で相談することができので、興味のある人はぜひ活用してみてください。
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