
シロアリの被害が不安です。
自分で対策する方法はあるのでしょうか。

シロアリの被害は建物の寿命を縮める直接的な原因となります。日ごろからの対策を心がける必要がありますね。
シロアリ対策は、生息しにくい環境をつくるというのが鉄則です。
環境チェックと自分でできるシロアリ対策について考えてみましょう。
・シロアリの基礎知識について知る
・自宅の危険度をチェックする
・自分でできる対策を考える
シロアリ被害の恐ろしさ
既にご存じの通り、シロアリが住宅にもたらす被害は甚大なものです。
シロアリの被害に気付かずにそのまま放置してしまうと、建物の寿命を縮める原因に繋がります。
・支柱や基礎土台が食べられ、建物の強度が著しく低下する
・耐震性が低下し、震災時のリスクが高まる
・室内の内装材や木建具が食べられ、リフォームを要することもある
・外壁や屋根から侵入されると、雨漏りの原因になる。
住宅に現れるシロアリは主に木を食べて生息しています。
躯体が木材でできた木造住宅はシロアリにとって恰好の餌場であり、もっとも繁殖しやすい場所になってしまいます。
「気付きにくく、進行が速い」のがシロアリの仕事
シロアリは建物の基礎や躯体内部などに生息するので、人間が普通に暮らしていても気付きにくいことが多いです。
しかもシロアリの繁殖力はとても高く、環境さえ整えば1つの住宅に対して100万匹以上のシロアリが生息していることもあります。
100万匹のシロアリが1日に消化できる木の量は70~100グラムと言われていますので、これを放置していると1年あたり30キロ前後の木材が食べられることになります。
知らぬ間に繁殖し、建物をむしばんでゆき、気付いたときには取り返しのつかない被害になってしまっている…というのがシロアリ被害の怖さなのです。
シロアリのターゲットとなる箇所
住宅に生息するシロアリの主食は木材なので、木製のものであればどこでも被害を受ける可能性があると考えた方がいいでしょう。
木造住宅であれば躯体全体がターゲットになります。その他、フローリングや室内扉などの木製建具、畳、捨て張り板、家具などが被害を受けることもありますので要注意です。
RC住宅・鉄骨住宅・マンションの被害も
シロアリ被害が発生するのは木造の建物だけではありません。生息環境さえ整えば、RC住宅や鉄骨住宅、マンションでもシロアリが発生します。
先ほど説明したようにシロアリは室内の木製建具や畳などを食べます。シロアリはコンクリートを溶かして穴を開ける特技も持っているので、室内に食べられるものがあれば外から侵入してくることがあるのです。
ですので、現在住んでいる建物が非木造建物だからといって安心することはできないのです。
シロアリチェック
シロアリは外から侵入してきますので、住宅の中に入れる経路がないかをチェックする必要があります。
申請経路をチェック
シロアリは土壌(地表または地中)から建物の基礎に入り込み、躯体へと侵入してきます。
建物の基礎を伝って躯体に侵入してくるとき、蟻道という通り道を残すという特徴があります。蟻道が確認できた場合は建物内にシロアリが生息している可能性は高いと言えます。
基礎の外部、床下などを点検してみましょう。
建物内外でハネアリが大量発生していたら要注意
蟻の種類にはハネアリ(羽が生えた蟻)というものがあり、ハネアリの仲間にも住宅被害をもたらすシロアリの類のものがいます。
建物でハネアリの姿を見たとき、それがシロアリなのかどうかは体の特徴から確認ことができます。
・羽の大きさが均等(4枚羽)
・胴体にくびれがない
・触覚が短い
建物内で異常を感じたらシロアリ被害を疑う
シロアリの被害があるとき、建物からシグナルが示されることがあります。
「床が以前よりもキシキシときしむようになった」「室内柱や建具が歪んでいるような気がする」「木材をたたくとポコポコと空洞のような音がする」「畳がふやけたような感触がする」
このような異常が目立つのであれば、シロアリの被害が進行している可能性があります。
肉眼で確認できない場合は、プロの害虫駆除業者に調査を依頼することをお勧めします。
シロアリ被害が出やすい環境
シロアリは、湿気のある場所を好みます。日光や風が通りにくく空気が停滞している場所はシロアリの住みやすい場所だと考えましょう。
シロアリが住みやすい住宅の条件は、以下の通りです。ご自身の住宅が当てはまるかチェックしてみて下さい。
□床下が換気されにくい構造になっている。
□基礎の周りに長年放置している不要物や廃材、道具などが散乱している
□外構の土が露出している。植栽が多い。
□敷地周辺に公園や緑地が多い。
□過去、建物内で雨漏りや漏水などの症状が出たことがある。
シロアリ対策方法
シロアリの被害が出ないようにするためにはどのような対策があるのでしょうか。
住宅所有者が把握しておくべきシロアリ対策について考えてみましょう。
新築時に行われているシロアリ対策
建築時のシロアリ対策として、土壌に対しての防蟻処理や、防蟻加工済みの木材の使用、床下の通気性確保などがあげられます。
①土壌の防蟻処理
建物が建っている地表や基礎に対してシロアリが嫌う薬剤を散布し、外部からの侵入を防ぎます。
②防蟻加工済みの木材の使用
シロアリの餌となる木材に対して直接防蟻加工を行うというものです。木材の防蟻加工には、表面に薬剤を散布したものと加圧浸透注入で内部まで浸透させたものがありますが、後者の方が効果が長く持つと言われています。
③床下の通気性確保
建物プランニングの段階で、基礎(床下)の通気を良くすることを意識した設計をすることもシロアリ対策として有効です。
通気の孔を多くとったり、床下換気扇を設置したりすることで常に乾燥している状態が保たれ、シロアリが住みにくい環境をつくることができます。
防蟻用の薬剤の効果には限りがありますので、シロアリ調査と再防蟻処理は数年ごとに行うことをお勧めします。
自分でできるシロアリ対策
シロアリ対策として自分でできることは、①シロアリが住みやすい環境を作らないこと、②薬剤の散布を定期的に行うことです。
環境については、建物周りに不要物やものを放置しないようにし、床下の通気をよくするということを常に意識する必要があります。
防蟻用の薬剤については、ホームセンターやネット販売なので入手することができるので、見える範囲については定期的に自分で行っているという人もいます。
プロに任せるシロアリ対策
薬剤が入手できれば自分で防蟻処理を行うことができますが、不安だと言う人は業者に依頼することをお勧めします。
素人目では分かりにくい侵入経路があったりすると、処理の漏れが発生してしまうこともあります。また、薬剤の種類についても、市販で売っているものよりプロが使っているものの方が効果が高いという利点もあります。
対策業者によっては、処理から数年間は保障がついていることもありますので、安心して任せることができます。
既にシロアリの被害が出ているときにするべきこと
ここまでシロアリの被害を予防する観点で説明をしてきましたが、既に住宅でシロアリ被害が出ているときは直ちに専門業者に駆除を依頼することをお勧めします。
シロアリ被害は刻一刻と進行していますので、対応が早いほど被害を最小限に食い止めることができます。
被害が大きい場合は、補修が必要になることもあります。
シロアリ被害は住宅の寿命を縮めます
シロアリの被害は建物の寿命を縮める直接的な原因となります
また、一度被害が出ると資産価値にも大きく影響します。(建物売却時にはシロアリ被害の有無が告知事項になっています。)
まさに建物にとって百害あって一利ないというのがシロアリですので、日ごろからの対策を心がけるようにしましょう。