築40年超は旧耐震基準建物?築古建物の取引時に理解しておくべき耐震基準

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真地 リョウ太  Twitter
1989年生まれ。2012年から不動産会社で売買実務を担当。不動産相続対策の案件も実績あり。本サイトでは業務経験から得たスキルをみなさんに発信できればと思っています。宅地建物取引士・行政書士試験合格・FP2級。好きな食べ物は梨。

 

 

 

 

 

建築したのが1981年よりも前か後かで建物の価値が大きく変わってしまうという話を聞きました。
それってどういうことですか?

1981年よりも前に造られた建物については、建物の耐震性が低く、躯体そのものが脆弱なものが多いです。
その理由は「耐震基準」という建築時のルールが、1981年の改正時から厳しくなったという点にあります。
1981年以前にも耐震基準はありましたが、内容が今よりも緩かったので、その時代に造られた建物は耐震性に欠ける造りとなってしまっているのです。
耐震基準とはどういうものなのか見てみましょう。

 

 

耐震基準は、国が定めたルール

老朽化した建物の資産価値はどうなる?日本は地震大国と言われており、大きな地震が来るたびに建物倒壊の甚大な被害を被ってきた歴史があります。
そのような地理的要素を踏まえた上で、大地震が来ても建物倒壊の被害が大きくならないように、これから建物を建築するときは強固なものを造らなければならないというルールを国が定めています。
このルールのことを「耐震基準」といいます。

この耐震基準には「旧耐震基準」と「新耐震基準」というものがあり、どちらを基に建築されたかによって建物の強度が大きくことなります。

 

旧耐震基準とは?

旧耐震基準…1950年代から1981年まで建築基準法において採用されていた旧ルールのことを指します。

旧耐震基準は今よりも考え方が緩く、「建物の重さの20%に相当する地震力に耐え、震度5程度の地震で建物が倒壊しないこと」という要件を満たせば建築が許されるというものでした。

しかし、旧耐震基準によって建てられた建物は震度6~7の地震に耐えることができず、震災に見舞われるたびに全国各地で建物倒壊の被害が発生してきました。

そして1978年、宮城県沖で発生した大地震(宮城県沖地震)によって甚大な被害を受け、建物の耐震基準のあり方が改めて問われるようになりました。

 

新耐震基準とは?

老朽化した建物の資産価値はどうなる?1978年の宮城県沖地震の被害を受け、1981年6月、国が新たに制定しなおしたルールが新耐震基準です。
新耐震基準は、「中規模地震(震度5強程度)で軽微な損傷にとどまり、震度6~7程度の大規模地震がきても倒壊を免れること」という考え方が新たに加わり、建築が許されるために求められる基準が厳しくなりました。

 

旧耐震基準か新耐震基準によって建物の強度が全く異なる!

老朽化した建物の資産価値はどうなる?このような歴史があり、旧耐震基準時代につくられた脆弱な建物と、新耐震基準時代につくられた強固な建物が今でも混在している結果になっています。

当然、建物の資産価値においても、地震に強い強固な建物の方が高く評価されます。

現在取引されている中古マンションにおいても1981年以前のものは「旧耐震マンション」などと言われることがあり、懸念される要素の1つとなっています。

 

 

 

旧耐震基準の建物でも耐震性に問題ないケース

老朽化した建物の資産価値はどうなる?旧耐震基準で造られた建物は耐震性いということを説明しましたが、例外的に旧耐震基準で造られた建物でも問題ないケースもあります。

 

強固な構造でつくられている建物

建物が旧耐震基準で造られたものであっても、地震発生時に倒壊のリスクが比較的低い建物があります。チェックするべきポイントは以下の3つです。

①建物の工法
②建物の形状
③地盤の状況

 

建物の工法


建物が鉄筋コンクリート造のとき、大きく分けるとラーメン構造壁式構造のいずれかになっていると思います。
耐震性が高いは、壁式構造の建物です。

梁や柱が骨組みのように建物を支えるラーメン構造に対して、面で支える壁式構造は、建物の壁一面一面が箱のように建物を構成しており、外部からの力に強いという特徴があります。

 

建物の形状


建物の形状として確認するべきことは、主要構造部分(柱や梁、壁)のつくりと、建物の階数です。
柱の太さや本数、壁の厚みが大きいほど耐震性が高い建物であると言えます。
旧耐震基準は今よりも緩いルールでしたが、当時の施工主が自主的に基準以上の建物を建築しているケースもありますので、建物がどのような形状をしているのかを見ることが重要です。

旧耐震基準時代につくられた建物は、40年近く外部からの力や自重に耐えてきたことになるので、高い建物の方が低層建物に比べると劣化が進んでいる可能性が高いと言えます。

 

地盤の状況


耐震を考える上では地盤の強度も重要です。地盤状況と併せて、改良工事(杭工事など)の状況についても確認するようにしましょう。

 

 

「耐震診断」で耐震性を証明された建物

旧耐震基準時代に造られた建物の耐震性を評価する「耐震診断」という公的制度があります。
旧耐震基準はあくまで最低限守らなければならないルールであったので、建築当時に自主的に基準よりも強い構造の建物が建築されたケースもあります。
耐震診断で「新耐震基準に相当する強度がある」という結果が出れば、資産価値においても新耐震基準相応の価値が担保できます。

 

 

耐震改修工事を行われた建物

耐震診断において耐震性に問題があると評価を受けても、耐震改修工事を実施することで一定の耐震性を担保することができます。

耐震改修工事は、補強のための柱を新たに設置したり、建物の構造部分を根本的に作り直すというかなり大掛かりな工事になることがほとんどです。費用も高額になることが多いので、耐震改修工事未了の建物が多いという問題があります。

自治体によっては改修工事を行う人向けの助成金制度があることもありますので、旧耐震建物を購入する予定がある人は確認してみましょう。

 

 

 

古い建物の資産価値

1981年に造られた建物は2021年で築40年を迎えます。建物としては寿命を迎える時期に差し掛かっているものがほとんどだと思います。
建て替えることを前提として旧耐震建物を安く購入したいという人もいますので、物件としては今後もニーズがあるのではないかと思います。

建物を使用する目的で売買を行うときは、やはり地震発生時のリスクは勘案する必要があると思います。リスクヘッジがとれれば、必ずしも「すべての旧耐震建物=NG」というわけではないので、まずは物件の特性を理解することが大切です。

 

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